麒麟のたてがみ

読書日記

悲しみのイレーヌ

面白かった。満足のいく本でした。

アレックスを先に読んでいたので 結末はわかっていたけれど

それがまったく気にならない しっかりした筋立ての中身の濃い作品でした。

ただこれだけの事件を起こした動機がいまひとつ 

ぼんやりした感じがして それだけが唯一ひっかかりましたが..

私は アレックスよりも こちらの方が好きだし 

作品としても良質だと思います。

そして やはりこの方の翻訳は素晴らしい。

 

 

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

 

 

朱鳥の陵

読み応えのある本だった。

歴史、ミステリー、ホラー一つに定まらない内容を散漫にする事なく

一気に読ませてくれる。

ただ歴史オタとも言える私でも 冒頭の部分でやや腰が引けてしまうほど 

当時の官職名、言葉使い、人名が忠実に再現されている。

持統天皇については 永井路子「茜さす」「美貌の女帝」

有名所では里中真智子「天上の虹」などである程度のイメージがあったけれど

この本では彼女の政治家としての部分ではなく 

どこまでも「女」としての情念の凄まじさについて書かれている。

とても面白い本だけれど誰にでも薦めるとは言えない本かな

 

 

朱鳥の陵 (集英社文庫)

朱鳥の陵 (集英社文庫)

 

 

蓮花の契り

みをつくし完結から久しぶりの高田さん。

みをつくしもこの本も男女の情愛について一歩も二歩も引いて書かれてある。

この本は特に人の死 生を受けた意味その事に重きを置いて書かれたものだ

というのはわかるが何故そこまで徹底して 

男女の情愛について避けられるのか。

あえて情を結ばない愛の形もあるだろう。

そう思っていらっしゃる作家さんなんだとは思うが 

だからこそ 熱く苦しみも哀しみもすべて味わい尽くすような男女の愛について 

この作家さんに書いて欲しい気がする。

余韻のある物語を書かれる好きな作家さんだからこそ そう思う。

 

 

蓮花の契り 出世花 (ハルキ文庫)

蓮花の契り 出世花 (ハルキ文庫)